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核融合研究最前線

未来をつくる究極のエネルギー

宇宙に輝くすべての星は、核融合エネルギーを源としています。地球上で核融合エネルギーを実現し、安全で環境適合性が高く、原料が無尽蔵の究極のエネルギー源を得ることは、人類恒久の課題です。 核融合エネルギーは、従来型の化石エネルギーや原子力発電、あるいは将来の実現をめざした他の新エネルギー源と比較し、次のような利点と問題点があります。

  • 利点

    • 燃料が海水から得られるため、地球上では無尽蔵で、かつ地域偏在していない。
    • エネルギー発生時に環境負荷の大きな二酸化炭素や大気汚染物質を多く出さない。
    • エネルギー出力密度が高く、中央発電所からの高効率の供給が可能。
    • 燃料の炉内貯留量が少なく、また高レベル放射性物質を生じない為、本質的に安全である。
  • 問題点

    • 燃料を高温、高密度の状態で長時間閉じ込める必要があり、技術的に未解決課題が多い。
    • 実現にむけた研究開発には長年にわたる大型装置での実験が必要であり、継続的な人材および資金の投入が必要となる。

現在は、これらの問題点を努力により克服してきており、約30年後の近い将来に核融合エネルギーの実現を見通せる状況になってきました。

世界の核融合研究

現在、ヘリカル型やトカマク型と呼ばれる磁場中にプラズマを浮かせて閉じ込める「磁場閉じ込め方式」、および高強度レーザーを用いて短時間に高密度のプラズマを発生させる「慣性閉じ込め方式」を中心に、世界各国で核融合研究が活発に進められています。核融合科学研究所では、大型ヘリカル装置(LHD:Large Helical Device)を用いた実験研究を中心に、様々な視点から核融合研究に取り組んでいます。ヘリカル型は日本発祥の方式で、ドイツ・スペイン・オーストラリア等でも盛んに研究されています。慣性閉じ込め方式は、米国で推進されてきたほか、日本でもユニークな研究成果が多く挙げられています。トカマク型は現在の核融合研究の主流であり、日本、米国、ヨーロッパ各国の他、最近では中国や韓国に大型の装置が建設されています。

  • ヘリカル方式
  • トカマク方式

TOPIC国際熱核融合実験炉(ITER)

  • ITER
  • 核融合プラズマは、その体積が大きいほど閉じ込めに有利であり、研究の進展に伴って実験装置が大きく、高コストになってゆく宿命を背負っています。また、ブランケットやダイバータ等、各種の炉構成機器の開発も必要となってゆきます。そこで、国際協力により総合的な実験炉を建設する計画が進められています。この炉を国際熱核融合実験炉(ITER)と言います。参加国は、日本、欧州連合、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7極で、総事業費として約1兆3千億円をかけ、2020年頃から約20年間の運転を目指して、現在、フランスのカダラッシュに建設中です。また、建設期の約10年間には日本において「幅広い活動」という位置付けで、材料試験、シミュレーション、トカマク実験等が展開されます。核融合科学研究所においても、ITER連携研究部門を窓口とし、ITERプロジェクトと協力体制をとって研究を進めています。

    1985年に発足したITER計画がいよいよ本格的に動き出しました。この計画は所謂ビッグサイエンスの典型であり、人類の未来のために取り組むべき課題として、巨額の研究資源が投入されるプロジェクトです。世界中の大学院生や若手研究者を対象とした「ITERサマースクール」も開催されており、このスクールへの参加などを通じて、ITERを身近に感じる機会も多くなっていくことでしょう。