コース長あいさつコース長 榊原悟2023年4月
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太陽など恒星が光り輝いているのは、中心部で核融合反応が起きているからです。このエネルギーを利用して発電を起こすことが核融合研究であり、二酸化炭素を放出しないクリーンなエネルギーとなります。世界では1950年代から核融合研究が本格化しました。現在では核融合反応を起こす条件をほぼクリアし、フランスで建設中のITERでは入力エネルギーの10倍となる核融合エネルギーを発生させることが計画されています。そして次の段階では、原型炉と呼ばれる発電実証フェイズに移り、いよいよ核融合炉の実現が見通せる領域に入ることになります。
一方、プラズマ物理学の理解や計測機器開発、制御技術、炉で求められる耐熱性、耐放射性に優れた材料の開発研究や超伝導技術など、まだまだ取り組むべき研究課題が幅広く残されています。核融合科学コースでは、これら未踏の研究課題に積極的に取り組む学生を求めています。核融合科学研究を軸足として自己のスキルを磨き、どの研究分野にも通用する総合理工学者の育成を目指しています。学生の皆さんのチャレンジを期待しています。
沿革
昭和63年10月 | 総合研究大学院大学 開学 |
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平成元年5月 | 核融合科学研究所 設立(名古屋市千種区) |
平成4年4月 | 数物科学研究科 核融合科学専攻 を設置 初代専攻長 飯吉厚夫 就任 |
平成9年7月 | 岐阜県土岐市へ移転 |
平成9年12月 | 大型ヘリカル装置(LHD)完成 |
平成11年4月 | 2代専攻長 藤原正巳 就任 |
平成15年4月 | 3代専攻長 本島 修 就任 |
平成16年4月 | 国立大学法人 総合研究大学院大学 発足 物理科学研究科 核融合科学専攻 に改組 |
平成18年4月 | 5年一貫制博士課程を導入 |
平成21年4月 | 4代専攻長 小森彰夫 就任 |
平成27年4月 | 5代専攻長 竹入康彦 就任 |
令和3年4月 | 6代専攻長 吉田善章 就任 |
令和5年4月 | 初代コース長 榊原 悟 就任 |
総合研究大学院大学とは?
総研大
総合研究大学院大学は、大学共同利用機関を活用し、幅広い視野を持った国際的で独創性豊かな研究者の養成と、従来の学問分野の枠を超えた独創的学術研究の開拓・推進を目指して、1988年に我が国最初の大学院大学として創設されました。
神奈川県葉山町に大学本部を持ち、全国各地に置かれた、人文系から自然科学系にわたる基盤機関に大学院生を分散配置し、ユニークな博士課程教育を展開しています。
新しい時代のエネルギー源としての核融合の開発に向けて、その科学的・技術的開発研究を充実・発展させていくためには、大型の核融合実験装置を用いた、燃焼条件に近い高温プラズマの実験的研究及び炉心プラズマのような超高温プラズマの複雑な振る舞いを解析する理論的研究の並列的推進が不可欠です。核融合科学コースでは、核融合科学の総合的推進を目指して、核融合プラズマ及び炉の開発に必要な種々の先端科学技術分野の有機的な関連を重視した実験に関する組織的な教育研究と、核融合プラズマ中諸過程の物理機構の解明を目指して、特にスーパーコンピュータを駆使しての理論シミュレーション研究を中心とした教育研究を行うことを目的としています。
核融合研究は、多くの専門分野を包括した学際的な研究であるため、本コースには、プラズマ物理学、原子物理学、電気工学、機械工学、超伝導工学、材料工学、真空工学、情報工学など理論と実験にまたがる幅広い分野を専門とする教員がそろっており、核融合を軸としながら、現代理工学の幅広い基礎を修得できるところに本専攻の特色があります。
実験関係では、試作開発用実験装置に焦点をしぼった基礎研究と大型ヘリカル装置での複合事象とを結ぶ研究を通じて、分析と統合という研究活動の基本を学ぶことができます。また、理論関係では、スーパーコンピュータと最新鋭の三次元カラーグラフィック装置を駆使したシミュレーション研究を実地に体験しながらプラズマと核融合の理論を修得することができます。
総研大は、6研究科20専攻の体制から、先端学術院20コース体制へ2023年4月に移行しました。これにより、高い専門性を持った大学共同利用機関等研究所(基盤機関)の教育リソースを柔軟に構築できる体制を整備し、複合的・融合的な課題に取り組む次代の研究者育成を目指します。