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専攻の紹介

 

専攻長あいさつ

専攻長 竹入康彦2015年4月
竹入康彦 専攻長

地球のいのちの源である太陽のエネルギー、夜空に輝く星のエネルギー、これらはすべて核融合により生み出されています。137億年前のビッグバンにより誕生した宇宙で絶え間なく作られている核融合エネルギーをこの地上で実現できれば、人類は恒久的なエネルギーを得ることができます。総合研究大学院大学物理科学研究科核融合科学専攻では、この地上の太陽である核融合エネルギーの実現を目指した世界最先端の研究を推進している大学共同利用機関法人自然科学研究機構核融合科学研究所(核融合研)を基盤機関として、我が国の核融合エネルギーをはじめとする高度な科学技術を担う人材養成を目的とした大学院教育を行っています。

核融合を実現するためには、1億2,000万度を超える高温プラズマを定常的に保持する必要があります。核融合研では、ヘリオトロン方式と呼ばれる我が国独自のアイデアに基づく世界最大の超伝導大型ヘリカル装置(LHD)を用いて、磁場閉じ込めによる高温プラズマの研究を強力に推進しています。そうした高温プラズマの振る舞いは極めて複雑で、知的好奇心を大いにそそるものですが、それを解明するために、実験研究と並行して、スーパーコンピュータを用いた理論・シミュレーション研究を進めています。また、LHDの装置性能を高めてプラズマをさらに高性能化させるために、こうしたプラズマ物理研究のみならず、超伝導技術やプラズマ加熱機器をはじめとする最先端の装置工学研究も進めています。さらに、将来の核融合炉の設計研究とそれに向けた材料開発や工学システム研究など、理学、工学にまたがる幅広い学術研究を展開しています。

このように、核融合研究の対象は広範な学術分野に及んでおり、相互に関連させながら、全体として統合することにより、核融合エネルギーを実現することができます。核融合科学専攻では、核融合に関連するそれぞれの分野において、世界最高水準の国際的な共同研究を行っている核融合研の研究環境の下、大学院生の志望に応じた分野での研究指導を行っています。そして、核融合科学専攻の特長は、複数の一流の研究者による研究指導、海外の研究者との議論や海外での学会における研究発表を通じた国際的な研究者養成にあります。

核融合研究が始まって50年以上が経ちますが、最近の研究の進展は著しく、ITER(国際熱核融合実験炉)による核融合燃焼実験が2027年に計画される段階に達しています。それでも、核融合発電の実現には、まだ30年程度は必要で、それまでに解決しなければならない課題も多く残されており、チャレンジングな研究分野といえます。

燃料資源は海水中にほぼ無尽蔵に含まれ枯渇する心配がなく、二酸化炭素を排出しないため、環境に負荷をかけることもなく、安全性などの点でも優れた特性を有している核融合エネルギーを実現するため、今こそ、若い力が必要です。人類の夢である核融合エネルギーの実現を目指して、ともに研究を進めましょう。

沿革、組織

昭和63年10月 総合研究大学院大学 開学
平成元年5月 核融合科学研究所 設立(名古屋市千種区)
平成4年4月 数物科学研究科 核融合科学専攻 を設置
初代専攻長 飯吉厚夫 就任
平成9年7月 岐阜県土岐市へ移転
平成9年12月 大型ヘリカル装置(LHD)完成
平成11年4月 2代専攻長 藤原正巳 就任
平成15年4月 3代専攻長 本島 修 就任
平成16年4月 国立大学法人 総合研究大学院大学 発足
物理科学研究科 核融合科学専攻 に改組
平成18年4月 5年一貫制博士課程を導入
平成21年4月 4代専攻長 小森彰夫 就任
平成27年4月 5代専攻長 竹入康彦 就任

組織図

組織図

総合研究大学院大学とは?

総研大

総合研究大学院大学は、大学共同利用機関を活用し、幅広い視野を持った国際的で独創性豊かな研究者の養成と、従来の学問分野の枠を超えた独創的学術研究の開拓・推進を目指して、1988年に我が国最初の大学院大学として創設されました。

神奈川県葉山町に大学本部を持ち、全国各地に置かれた、人文系から自然科学系にわたる基盤機関に大学院生を分散配置し、ユニークな博士課程教育を展開しています。

新しい時代のエネルギー源としての核融合の開発に向けて、その科学的・技術的開発研究を充実・発展させていくためには、大型の核融合実験装置を用いた、燃焼条件に近い高温プラズマの実験的研究及び炉心プラズマのような超高温プラズマの複雑な振る舞いを解析する理論的研究の並列的推進が不可欠です。核融合科学専攻では、核融合科学の総合的推進を目指して、核融合プラズマ及び炉の開発に必要な種々の先端科学技術分野の有機的な関連を重視した実験に関する組織的な教育研究と、核融合プラズマ中諸過程の物理機構の解明を目指して、特にスーパーコンピュータを駆使しての理論シミュレーション研究を中心とした教育研究を行うことを目的としています。

核融合研究は、多くの専門分野を包括した学際的な研究であるため、本専攻には、プラズマ物理学、原子物理学、電気工学、機械工学、超伝導工学、材料工学、真空工学、情報工学など理論と実験にまたがる幅広い分野を専門とする教官がそろっており、核融合を軸としながら、現代理工学の幅広い基礎を修得できるところに本専攻の特色があります。
実験関係では、試作開発用実験装置に焦点をしぼった基礎研究と大型ヘリカル装置での複合事象とを結ぶ研究を通じて、分析と統合という研究活動の基本を学ぶことができます。また、理論関係では、スーパーコンピュータと最新鋭の三次元カラーグラフィック装置を駆使したシミュレーション研究を実地に体験しながらプラズマと核融合の理論を修得することができます。

核融合研究最前線

未来をつくる究極のエネルギー

宇宙に輝くすべての星は、核融合エネルギーを源としています。地球上で核融合エネルギーを実現し、安全で環境適合性が高く、原料が無尽蔵の究極のエネルギー源を得ることは、人類恒久の課題です。 核融合エネルギーは、従来型の化石エネルギーや原子力発電、あるいは将来の実現をめざした他の新エネルギー源と比較し、次のような利点と問題点があります。

  • 利点

    • 燃料が海水から得られるため、地球上では無尽蔵で、かつ地域偏在していない。
    • エネルギー発生時に環境負荷の大きな二酸化炭素や大気汚染物質を多く出さない。
    • エネルギー出力密度が高く、中央発電所からの高効率の供給が可能。
    • 燃料の炉内貯留量が少なく、また高レベル放射性物質を生じない為、本質的に安全である。
  • 問題点

    • 燃料を高温、高密度の状態で長時間閉じ込める必要があり、技術的に未解決課題が多い。
    • 実現にむけた研究開発には長年にわたる大型装置での実験が必要であり、継続的な人材および資金の投入が必要となる。

現在は、これらの問題点を努力により克服してきており、約30年後の近い将来に核融合エネルギーの実現を見通せる状況になってきました。

世界の核融合研究

現在、ヘリカル型やトカマク型と呼ばれる磁場中にプラズマを浮かせて閉じ込める「磁場閉じ込め方式」、および高強度レーザーを用いて短時間に高密度のプラズマを発生させる「慣性閉じ込め方式」を中心に、世界各国で核融合研究が活発に進められています。核融合科学研究所では、大型ヘリカル装置(LHD:Large Helical Device)を用いた実験研究を中心に、様々な視点から核融合研究に取り組んでいます。ヘリカル型は日本発祥の方式で、ドイツ・スペイン・オーストラリア等でも盛んに研究されています。慣性閉じ込め方式は、米国で推進されてきたほか、日本でもユニークな研究成果が多く挙げられています。トカマク型は現在の核融合研究の主流であり、日本、米国、ヨーロッパ各国の他、最近では中国や韓国に大型の装置が建設されています。

  • ヘリカル方式
  • トカマク方式

TOPIC国際熱核融合実験炉(ITER)

  • ITER
  • 核融合プラズマは、その体積が大きいほど閉じ込めに有利であり、研究の進展に伴って実験装置が大きく、高コストになってゆく宿命を背負っています。また、ブランケットやダイバータ等、各種の炉構成機器の開発も必要となってゆきます。そこで、国際協力により総合的な実験炉を建設する計画が進められています。この炉を国際熱核融合実験炉(ITER)と言います。参加国は、日本、欧州連合、ロシア、米国、中国、韓国、インドの7極で、総事業費として約1兆3千億円をかけ、2020年頃から約20年間の運転を目指して、現在、フランスのカダラッシュに建設中です。また、建設期の約10年間には日本において「幅広い活動」という位置付けで、材料試験、シミュレーション、トカマク実験等が展開されます。核融合科学研究所においても、ITER連携研究部門を窓口とし、ITERプロジェクトと協力体制をとって研究を進めています。

    1985年に発足したITER計画がいよいよ本格的に動き出しました。この計画は所謂ビッグサイエンスの典型であり、人類の未来のために取り組むべき課題として、巨額の研究資源が投入されるプロジェクトです。世界中の大学院生や若手研究者を対象とした「ITERサマースクール」も開催されており、このスクールへの参加などを通じて、ITERを身近に感じる機会も多くなっていくことでしょう。

専攻案内パンフレット