私は向井先生の出前授業から核融合科学研究所と総合研究大学院大学について知りました。興味を持っていた核融合の研究ではどのようなことが行われているのか、大学院大学という組織はどのようなことを学べる環境なのかに興味を持ち、今回の夏の体験入学に参加することを決めました。課題として選んだ「分光システムの較正と太陽スペクトルの解析」は、太陽光を分光することで得られるスペクトルからどのような核融合との繋がりを発見できるのかが気になり、挑戦しました。
実際に課題に挑戦してみると、直接核融合との関係のあるデータを取る訳ではなく、核融合に関係する研究を行うための分光器の較正を行うことでした。しかしながら、こういった地道な道を進んでいくことで研究が進んでいくのだと感銘を受けました。台風の影響により、曇り空になる日や雨が降る日が多く、太陽スペクトルを観測できるのか不安もありましたが、僅かな晴れ間を狙い無事に測定することができました。僅かな晴れ間での観測だったことと測定時刻が夕方でしたので、解析から得られた太陽スペクトルは標準的な太陽スペクトルとの比較から夕方のレイリー散乱と大気中の水蒸気によるスペクトルの変化が見られました。較正を確認するためのデータとして適当ではなかったかも知れないですが、知識でしか知らないことを実際のデータとして見られたことが深く印象に残りました。
夏の体験入学では課題以外にも施設の見学や他の参加者との交流などを経験しました。
初日に大型ヘリカル装置(LHD)やCAVE型VR装置、核融合科学研究所が持つベクトル型スーパーコンピュータ通称「雷神」を見学しました。大型ヘリカル装置を見学した際には装置の規模感とヘリカル装置を覆い隠す程の大量の導管や周辺装置類に衝撃を受けました。同時に見学したVR装置では大型ヘリカル装置の内部とシミュレーションを覗くことができ、核融合炉はどの様な構造で投入する燃料がどういった挙動をとるのかが視覚的に分かりました。私は高専本科4年生だったため年上の方が多くコミュニケーションを正しく行えるか不安がありましたが、交流会や課題への挑戦を通じてコミュニケーションを取ることができ仲良くできたと思います。
今回の体験入学では、核融合科学研究所で行われている研究と総合研究大学院大学についてどのようなことが学べるのかをほんの僅かですが体験することができました。私は進路について悩んでいたため今回の体験入学が大きな助けになりました。この機会を作っていただいた方々、本当にありがとうございました。
分光システムの校正と太陽スペクトルの計測
仙台高等専門学校4年・Kさん