私がこの夏の体験入学に興味を持ったのはエネルギー問題に関心があったためです。近年地球温暖化への関心はますます高まっており化石燃料に変わる新しいエネルギー源が求められています。核融合は二酸化炭素を排出しないため、環境を汚染することなくエネルギーを生み出すことができます。だから核融合の研究に挑戦してみたいと考え、この体験入学に参加しました。
1日目は、核融合科学研究所の実験設備を見学しました。スーパーコンピュータやヘリカル装置など、最先端の技術に触れることができ、特にヘリカル装置の規模には圧倒されました。核融合の実現に向けた確かな可能性を感じ、強い印象を受けました。夕方には交流会が実施されました。物理だけでなく大学生活の様子や、進路など幅広いテーマについて話ができ楽しい時間を過ごすことができました。
2日目と3日目には、課題に取り組みました。私の班の課題は「プラズマ電位計測のための重イオンビームプローブ装置の開発」です。核融合炉を実現するためには、高温のプラズマを安定的に維持する必要があり、そのためには磁場による閉じ込めが重要です。プラズマの電位を制御するために、イオンビームを用いてその電位を計測する技術が必要とされます。今回の課題では、ビーム装置の改良に焦点を当て、磁場の調整で目的の負イオンを抽出したり、電位の調整でビームの収率を向上させる工夫を行いました。入力電圧を変えるたびに電位の再調整が必要になります。効率よく最適化する方法や最適な電位に法則性があるのか、探求する楽しさに心を奪われました。
4日目は、最終日の発表に向けて資料を作成しました。データの解釈やスライドの作成に苦労しましたが、担当教員の丁寧な指導のおかげで、無事に資料を仕上げることができました。
資料を作成することで実験の理解が深まるだけでなく、分かりやすく伝える技術を磨くことができました。
最終日には、各自が課題の成果を発表し合いました。発表を聞くと、苦戦しながらも、楽しみながら課題に取り組んでいた様子が伝わってきました。次回は他の班が取り組んでいた課題に取り組もうと思います。
この体験入学を通じて、核融合や研究の魅力を改めて実感し、さらに学びを深めたいという思いが強まりました。この5日間を楽しんで過ごすことができたのはサポートしてくださった方々のおかげです。熱心に指導してくださった担当教員の皆様をはじめ、サポートしてくださった全ての職員の方々に心から感謝申し上げます。5日間、本当にありがとうございました。