私がこのプログラムを知ったきっかけは、昨年度参加した先輩からの紹介でした。人見知りで、両親や友人に甘えてばかりで、関東から出たことがほとんどなかった私にとって、知らない土地で初めて会った人に囲まれて5日間じっくりと課題に向き合うということは、ただそれだけでチャレンジでした。しかしだからこそ、逃げられない状況で、決められた日数の中、自分なりに精一杯やってみるという経験をすること自体にも価値があると感じ、申し込みをしました。

私は、質問を考えることが苦手です。まだ分からない領域がある段階では、どうアプローチしたら良いのかが分からないからです。また、質問を思いついても、既に説明されていないか、論点がずれていないか、初歩的すぎないか、自分で考えるべきところなのではないかなどが気になってしまいます。しかし、このプログラムに参加して担当の先生とプレゼンテーションの推敲をした際には、先生に対する学生の人数の少なさ故かそんなことを考える余裕がなく、たくさん質問することができました。苦手意識も少し克服できたと思います。

私は、課題7「レーザー干渉で測る」を選びました。課題ごとの説明文や過去に参加された方のレポートを読んで、受験問題でなじみのある回折を利用した計測実験が導入として用意されていることを知り、それを足がかりとして展開されるところに魅力を感じたからです。

この5日間で私が最も成長したと感じたのは、プレゼンテーションの準備期間でした。プログラムの最終日、グループごとに10分間、実習において学んだことや考えたことについてプレゼンテーションをすることになっており、私たちは4日目の午後からスライドを作り始めました。その中で感じたのは、説明を聞いて、その話を理解することはできても、自分の言葉で正確に説明するのはとても難しいということでした。プレゼンテーションの内容を一通り考えた先生から指摘を受けた際に、自分の理解のずれに気がつきました。結果的にはプレゼンテーションづくりのほとんどが、こういう理解で合っていますか、これとの違いはなんですか、と話を展開することで認識のずれを埋める作業でした。そしてそのずれを埋める作業をしているとき、実験で得られた結果の意味や繋がりが分かり、1番理解が深まりワクワクしました。その理解促進のためにも、プレゼンテーションをする機会が設けられてるのではないかと思いました。また、質問をする、と変に意識しすぎることなく、自然に疑問が出てきて質問できていたので少し自信がつきました。質問をしようとするときは、自分で説明しようとしたときに矛盾がないか、原因は何なのか、他のものと比較するとどうなのかなどを考えればいいということが分かったので実践してみたいと思います。

またプレゼンテーションに関して、内容を決める際の判断基準は自分の気持ちではなくプレゼンテーションの結論であるということを痛感しました。「閉じ込め核融合に有用である」という結論への大きな流れから逸れるものや詳しすぎる理論については盛り込まないことになりましたが、実際に体験して面白く感じたのはそれらであり、体験できて良かったと思いました。具体的には、「小さいものほど包絡線に大きな影響を及ぼす」ということを理解できたことや、電流が表面を流れるということ、プラズマが第四の状態であること、レンズの有無による写り方の違いなどです。シミュレーションや実験を通して理解することができ、深い納得感が得られました。

私は何においても「そういうものなのだ」と受け入れてしまいがちな性格のせいか、質問をすることが苦手で、研究に向いていないのではないかと思っていました。しかし、この5日間で知らない分野について勉強すること、みんなで実験結果について意見を出しあうことの楽しさを体験することができ、研究室配属がとても楽しみになりました。とても貴重な経験ができ、勇気を出して参加してよかったと思います。この気持ちを忘れず、これからの勉強に取り組んでいきたいです。5日間、本当にありがとうございました。