私は太陽に依存しないエネルギー源に興味があり、高専の専攻科卒業後の進路として核融合の研究を行っている総研大の核融合科学専攻に進学したいと考えていました。しかし、学校では核融合はもちろん核融合に関する知識を学ぶ機会がなく、自分の進路を決定する上で不安だったため今回夏の体験入学に参加させていただきました。

初日の現場見学では来年からは間近で見ることのできないLHD本体やそのほかの装置を見学させていただき、核融合が遠い未来の技術でないと改めて実感しました。また、竹入専攻長の講義では核融合の重要性や可能性、現在の進捗状況について知ることができました。この講義を通じて私は核融合には無限大の可能性があり、核融合の研究に携わりたいという気持ちがより一層強くなりました。課題学習では「プラズマ加熱用高周波パワー合成器の制御および応用」という課題に取り組ませていただきました。課題内容は未知のパワー合成器の特性評価とその合成器を用いた電力の合成実験でした。初めに担当教員の方々からこの課題の背景や目的について説明していただきました。この説明を受けて合成器の重要性について理解し、課題に対するモチベーションがさらに上がりました。実際にパワーの合成を行う前にパワー合成器の特性評価を行いました。特性評価は合成器の大きさや入力周波数から理論的に導き出したSパラメータと実際の測定値との比較により行いました。比較を行った結果、理論値と測定値では一致しない部分があったため、その原因について班員や担当教員の方々と議論しました。その結果、一致しなかった原因はとても単純なことではありましたが、担当教員の方々も私たち班員の意見を真剣に聞いてくださりとても有意義な時間を過ごすことができました。次に実際に合成器にパワーを入力し合成実験を行いました。合成実験は大きさが同じパワーを異なる2つのポートに入力し、1つのポートから出力するという実験でした。この実験では入力する2つのパワーに位相差を付けた場合の出力合成パワーの変化を調べました。実験と並行してアンテナから出力されるパワーを測定するための磁気プローブの作成やファイバースコープを用いて直接見ることのできない合成器の内部の観察を行いました。実験より得た測定値と理論値を比較した結果、ほぼ一致していることが確認できました。体験入学最終日には今回の課題内容についてのポスターセッションを行いました。ポスターは今まで一度しか作ったことがなく、想像以上に時間がかかりました。ポスターセッションではNIFSの教員の方々や他の参加者との討論を行いました。討論では今回の課題に対するそれぞれの異なった視点からの意見に自分の視野の狭さを痛感させられました。

この体験入学を通じて核融合を少し身近に感じ、さらに詳しく学びたいと思いました。最後になりましたが、担当教員の方々をはじめとするNIFS職員の皆さん、5日間という短い間でしたがお世話になりました。またお会いできる機会を楽しみにしております。