今回の体験入学では「プラズマ実験装置をつくろう」という課題を行いました。この課題を選んだ理由として自分の学校で行っている研究であるタングステンへのプラズマ照射実験と通じるものがあったので、少しでも知識を蓄えたかったことと、核融合発電の将来性の高さにとても惹かれたからです。体験入学を終えての感想としては、教授たちが優しくて研究を進めやすかったことと、周りの体験入学生や教授たちから良い刺激を貰い勉強意欲の向上に繋がりました。また、宿泊施設はとても快適で体験入学生たちともすぐに仲良くなれたて楽しく過ごすことができました。体験入学生の大学でのエピソードや進路などの貴重な話を聞けたことや、宿泊施設で一緒に遊んだことなどは忘れられない思い出となりました。

実際に体験したこととしては、まずは所長から核融合に関する講義を行っていただきました。プラズマや磁場閉じ込めの方法など核融合に大切なものを学ぶことができました。講義は2時間ほどでしたが、興味のある分野だったのであっという間に過ぎてしまいました。また、講義のいくつかは自分の研究で学んだことがあるものもあったので、理解を深める手助けになり良かったです。その後に懇親会を行い体験入学生と親睦を深めました。また、その翌日には施設見学を行いました。LHDやスーパーコンピュータなどの普段目にすることができないものばかりで貴重な体験をすることができました。施設の一つ一つのスケールが大きくて驚いた印象があります。その後は、課題担当の教授と合流して課題が始まりました。最初はプラズマの電流・電圧特性を計測するための静電プローブを製作しました。ステンレスとセラミックの筒を切るところから始まり、タングステンの線を中に通して耐真空や耐熱性のある接着剤で材料を接着させてプローブが完成しました。次に、プラズマ実験装置の構造を理解するための簡単な講義を行っていただきました。こちらも自分の研究で学んだことのおかげで理解が早かった印象があります。その後は実際にプラズマ実験装置の組み立てを行いました。装置は最初から完成していたので、改造を行いました。ロータリポンプしかなかったところをターボ分子ポンプも増設したり、ターボ分子ポンプによってつくられる高真空を計測するための電離イオンゲージも増設したり、つなぎ方を変えたりして、新しいプラズマ実験装置が完成しました。プラズマをつけるために装置の中を真空にし、アルゴンガスを注入して電圧を印加することで実際にプラズマをつけることができました。しかし、ターボ分子ポンプを動かそうとしても動かないトラブルが発生して、原因がわからないままその日は終わってしまいました。翌日になると、ターボ分子ポンプの制御装置の内部設定に問題があることがわかり、ターボ分子ポンプを動かすことができました。しかし、また別の問題が発生し、電離イオンゲージが故障しているため真空を計測できなかったことがわかりました。これは別の電離イオンゲージを使うことで解決しました。そして、ようやくプラズマをつかったパッシェンの法則を実証するための実験を行うことができました。次に、プローブ計測を行おうとしたときにまたトラブルが発生しました。今度はうまく波形を観測することができませんでした。半日ほど何もできずに教授たちに任せきりのときは自分の無力さを痛感させられました。そして、印加する電圧の極性を反対にすることで計測を行うことができました。その後はプローブ計測を再開し、いくつかの波形と情報を記録して実験は終了しました。しかし、翌日にデータ解析を行っていると最中に実験でつかっていた抵抗が焼け焦げていたことがわかったため、再びプローブ計測を行い、解析をやり直しました。いざポスター作りをしようとしたときには18時をまわっていたときには衝撃を受けました。そして、パソコンとにらめっこしながらなんとか無事に22時半にポスターを完成させることができました。翌日にはポスター発表が行われ、体験入学が終了しました。

トラブル続きではありましたが、最終的にはすべての実験を終えることができ、トラブル解決も含めた良い体験ができたと思います。また、ポスター発表という普段体験できないことも体験することができたのでとてもためになりました。今回学んだことは学校に帰ったあとに自分の研究に是非生かしたいと思います。短い間でしたがとても密度の濃い体験をすることができました。NIFSの皆様には大変お世話になりました。また機会がありましたらよろしくお願いします。