今回の夏の体験入学では、プラズマの平衡解析入門というテーマで、主に実際の実験で得られたデータを解析した。実験データの解析を通して、統計的な処理の大切さを学んだ。得られた実験データに大きな誤差がある場合、どの程度の誤差のデータを省くべきなのか、そもそも、誤差を定量的に省くためにはどうすればいいのだろうか、また、このように実験データを省くことは捏造に当たらないのか、などの問題があると思う。学生実験の中では比較的誤差が小さいようなものにしか触れないので誤差の判定はほとんど気にしなかったが、この体験では誤差を考えなければならず、評価方法を同じ班員と議論し合ったことは非常に良い経験であり、班員とは体験入学後も交流があり誤差の評価について議論することもしばしばである。
また、私たちの班は解析中に問題点に当たる事について班員同士で議論をした、例年と比べることはできないが、夏の体験入学の班の中では一番議論をしたのではないかと思う。指導教員は私たちが議論しているほとんどのことについてその答えを知っているはずだが、私たちの議論に対して必要最低限のアドバイスで答えに導いて頂き、非常によいものであった。今回の体験で一番学べたことは実験と理論の関係であると思う。実験ありきの理論であり、理論ありきの実験であると私は思っているが、実験の解析をするときにはどのようなことを頭に入れるべきなのか、また、実験の解析をする上で理論をどの程度仮定しているか、また、解析して得られたデータからはどんなことが言えるのか、などを学べた。さらには普段、座学などで勉強している理論を実際のプラズマの系に適応するときに、勉強したことがほとんど生かせなかった。勉強するときに式と実際の実験装置を対応させて行くことが重要であるとわかった。
最後にポスター作成では、当初は班員だけで作成をしていたが、作成段階で結局実験データを解析して一番伝えたかったことが分かっておらず、非常に苦労した。実験を行う場合だけでなく、理論の研究を行う上でも、その背景にある事実をしっかりと抑え、実験を行う最中もどんなことをしているのか、その都度考えて行くことが研究において重要であることがわかった。
今回の体験を通して、勉強と研究の違いがよくわかった。また、今までの勉強が表面上の理解にしか至っておらず、もっと深く勉強をするべきだと思った。総研大は研究者ばかりで研究生活をする上では非常に快適な空間であり、大学院も検討してみようと思った。