将来のエネルギー源として期待されている核融合炉ですが、実現にはまだ時間がかかると言われています。今回の体験入学では、核融合についての知識を増やすとともに最先端の研究に触れることを目的として参加させていただきました。
私たちのグループは、「核融合プラズマと壁の相互作用基礎実験」というテーマで研究を行いました。実験内容は、水素プラズマを核融合炉の第一壁として使用予定の低放射化フェライト鋼に照射し、その透過量を計測するというものでした。実験自体は単純に聞こえるのですが、事前準備に細かな工夫がなされており、シンプルな実験を行う上でも準備が大切だと再認識させられました。実験自体はTAのお二人がメインで行っていただき、私たちは装置や方法について質問をしながらプラズマ照射の様子を観察していきました。TAのお二人は日本語が出来ないということで、英語でのコミュニケーションとなり、大変不安でした。しかし、実際に実験を始めてみると、紙に書いたり図やボディーランゲージを用いたりすることで何とかコミュニケーションをとることが出来ました。また、コミュニケーションをする上で一番大切なのは、正確に英語を使うことよりも、相手の話を聞きたい、相手に何かを伝えたいという意識を持つことだと思いました。たどたどしい英語しか話せませんでしたが、TAのお二人がしっかりと聞き取ろうして下さるのが感じられ、安心して質問をすることが出来ました。また、実験担当の芦川先生が、私たちがコミュニケーションに困っていないか気配りをしてくださったので、スムーズに溶け込むことが出来ました。実験中に感じたのは、お互いに安心して分からないことを聞き合えるという環境を作ることが大切だということです。些細なことを質問するのは気が引けることで、特に日本人は苦手な分野だと思います。今後、核融合炉を実現する上で国際協力は必要不可欠です。国際協力の中で日本が貢献するためには、聞く姿勢、伝える姿勢を持つこと、分からないことは分かるまで質問することが重要だと考えさせられました。また、そのような環境、風潮を気づいていくことが求められているのだと思います。
実験が終われば、結果を発表するということになります。私たちのグループは実験結果をA0ポスター1枚にまとめて発表を行いました。発表では実験結果の発表はもちろんですが、研究のモチベーション、背景の説明が必要になります。核融合炉におけるどの部分の研究なのか、なぜ研究する必要があるのか、実際にどのような実験を行えばよいのか、といった背景を理解しておかなければ、実験結果はただの結果になってしまいます。よって、背景を正確に理解し、実験結果を背景と絡めて考察することを意識していきたいと思います。
5日間の体験入学でしたが、毎日毎日新しい知識を得ることができ、有意義に過ごすことが出来ました。特に、先生方から様々な研究の話、人生の話、苦労話を聞けたことは良い経験になったと思います。大変ありがとうございました。最後に、廣岡先生、芦川先生、Xuさん、Biさん大変お世話になりました。近い将来、研究の最前線でお会いできることを楽しみにしております。