私が今回の夏の体験入学に応募したきっかけは自分の進路に悩んでいたからです。私の大学では三回生の最後になってようやく研究室の配属が決まります。それまではひたすら机の上において研究で使うことになる座学をみっちりと仕込まれます。私自身その仕組みに少し不安を感じていました。自分の将来を左右するかもしれない研究室に所属するのがそんなに遅くてよいものなのかと。だから、私は自分の興味のある研究室に見学に行き先生にお話をお聞きしました。そこで先生に核融合研究所が岐阜にあり、大学院が存在することを教えていただいたことがきっかけです。私自身は当時プラズマの研究をしたいなとぼんやり考えていたので、核融合というものにも興味持っていました。そこですぐに申し込みをだしました。
実際に核融合研究所では課題として“世界初!!高温超伝導ヘリカルコイルの製作と実験”という超伝導に関連する課題に臨むことになりました。これは私が第一希望だったもので、核融合というものを知るのに実際の小型装置を作ることができるのであれば一番理解の助けとなるであろうと考えて選択しました。しかし、製作に関しては前年度までに終了してしまっていたので、私が受け持った課題は“高温超伝導において通電した場合のコイル内の磁場を目視で確認し、シュミレーションの結果と比較してみよう”というものでした。課題をやり始めた際には事前学習など必要なことは教えてもらいましたが、磁場の目視という本題のことに関しては先生方や指導補助学生の方も答えを知られているわけではありませんでした。つまり、参加学生と指導者ともに未知の課題に向けて一斉にスタートを切ったのです。もちろん実験の準備などはいろいろと手伝っていただきましたが、どういう実験法で検証を行うかというところに関しては参加学生の間で実習時間やご飯の時間など関係なく、話し合いました。ですので、初めて実験を行えたのは実習が始まって二日目の夕方でした。その実験ではうまくいかずに、再度実験しなおすことに。また、一から考え直すことに。装置自身も超伝導を維持するために77Kだったので、常温戻すのに時間がかかりました。二回目の実験を行えたのはポスター発表の前日の19時ごろでした。そこで終えて、すぐさまポスターづくりに。ポスター作りも困難なものでした。翌日、ポスター発表なので急いで作る必要がありました。急いで作るとボロがでる。でたらでたで先生方から指摘を受けて手直しをする。など、大変なスケジュールをこなし、当日の発表を迎え、へとへとになりました。
終わってみて振り返ってみると、すべての苦労は貴重な経験だと感じました。実験を一から手さぐりで行う、先生方から自分が作ったものに指摘を受けてなおす、専門家の前でポスター発表を行う。研究室に配属されていない私には経験のないことだらけで新鮮でした。実際に研究室に配属後のぼんやりした将来像も見えました。でも、一番の収穫は核融合というものに興味を持ち、自分の進路として進んでみたいなと思えたことです。私は大学院に進学するつもりですので、やりたい分野が見つかったというのは将来の指標になります。
まぁ、まだ決めてはいませんが核融合専攻も視野に入れていこうと思います。
今回はお忙しいなかにも関わらず私のような未熟な学生に手厚いご指導をしてくださり大変感謝しております。ありがとうございました。