この度は、お忙しい中このような貴重な体験をさせていただき誠にありがとうございました。
今回、同じプログラムに参加された方には、物理系を専攻されている方だけではなく、電子情報系や機械系、材料系など様々な畑の方々がいらっしゃったので、他分野のお話をたくさん聞くことのできる良い機会となりました。また、私と同じように高専から大学へ編入された方や、現在本科に在籍されている方など、親近感の湧く方が非常に多く、非常に楽しかったです。
私は、昨年に本プログラムのプラズマに関する研究課題を体験させていただいたことをきっかけに、今回はプラズマだけではなく光やレーザーについての知見を深めたいと思い、課題8「レーザー干渉で測る」に参加させていただくことを決めました。
研究課題では、「レーザーポインター・ものさし・巻き尺の3つを用いて、髪の毛の太さを計測しなさい」という課題が与えられ、回折実験のようにスリットを髪の毛に置き換えれば測ることができるという答えに辿りついた時には、高校物理の内容でこれほどにも小さなスケールの物を測ることができるということに驚きました。
また、回折パターンから対象物の構造を知ることができるのかということをテーマに、実際に回折実験を行ったり、Pythonを用いてシミュレーションを行ったりして、最終的にはプラズマ化させたシャーペンの芯の微細構造を計測・考察するということも体験させていただきました。
回折パターンから情報を得るというのは私にとっては逆転の発想で非常に面白く、虚を突かれました。また、回折パターンは実空間密度分布のフーリエ変換であり、例えば、微細構造であればフーリエ変換波形の包絡線を見れば解析が可能であるといった、数学的な裏付けが実験結果と結びついており、普段行っていた電気電子工学実験において自分が理論を意識していなかったことを痛感されると同時に、フーリエ変換などの数学的な道具をもっと生かしていきたいと考えるようになりました。
さらに、担当していただいた先生の方々はかなり若い方が多かったため、近い距離で接することのできる環境が整っていたように感じました。初歩的な質問でも温かく対応していただきありがとうございました。
今回の体験入学に参加する前は、修士まで進学してその後は就職する予定でいましたが、考えが変わり、博士号へのチャレンジを目指そうと考えるようになりました。また、私にとっては理論<実験であり、「実験で良い結果さえ出ればそれで良いだろう」という良くない考えが念頭にありましたが、理論と結びつくことの重要さや美しさを今回知ることができ、物理学への道に一歩踏み込んだ気がします。このようなプログラムを組んでくださった先生方や事務の皆様、本当にありがとうございました。今回得られた良い刺激を忘れずに生かして、勉強を継続していきたいと思います。